Samsung Serif TV
Samsungから2015年に発表されたbouroullec brothersデザインのSerif TV。
各メーカーがインテリアコンシャスなテレビのデザインにトライし、結果的に非常にテクニカルなデザインに落ち着き失敗し続けている中、この思い切った家具的なアプローチは、bouroullec brothersと言う外部の有名デザイナーが手がけたということで世に出ることができたのだろう。
なぜなら多くの大手メーカーはここまで思い切ったデザインを商品まで持っていく様な組織構造や価値観を持ち合わせていないことが多いからである。日本のメーカーの例で言えば、まず普通に売れるコンサバな製品を作ることに重きを置いており、Serif TVのような限られた層にしか響かない商品は開発しない風潮にある。
そして、そのサイクルを長年繰り返しているデザイナーやディレクターの価値観は、あくまで普通の商品の範疇で、ちょっと個性があるくらいのデザインを追求する様に無意識的に洗脳されていくのである。
これは非常に自然な流れだと思う。必要とされるデザインを追求し、それに集中して行くということである。
しかし、離れた目線でそういったテレビがホントに部屋に置くものとしてふさわしいのか。何十年も同じ方向性で作られ続けていていいのかという疑問を抱くのも事実であり、今回のSerif TVはそういう問題提起になっていると思う。
私はこのテレビを実際に見るまではそれほど印象に残っていなかったが、先日実際に見る機会があり、テレビは全社がやっている様にどんどん薄くなる必要があるのか?ベゼルは細くなくてはいけないのか?置かれ方は多くのテレビの様にスタンドしかないのかなど、多くの疑問を投げかけてきた。
また、非常にハイテクな高解像度のパネルを、家具の様なアナログなフレームが包んでいるというコントラストが興味深く印象に残った。
私が見た印象では大型のテレビはこのデザインではもたないと感じたので、発表されているサイズが限度であろうと思う。
しかし今後他社から、ここまで思い切った商品で無いにしても、家具の仲間として部屋に置いておかしく無い、ただの黒や金属のフレームでは無いテレビが出てきてほしいと感じさせる、そんな商品だと思う。