Design insight

世界の某都市でプロダクトデザイナーとして活動しています。デザイナーとして印象に残ったデザインに対し、自分の意見や分析を書いていきます。

Laufen Val

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スイスのバスルームプロダクトのブランド、Laufenから発表されいている印象的な形の洗面器です。

 

機能と技術の可能性を表現したデザイン

ぱっと見で明らかに違うこの洗面器は石鹸を置く場所が一体になっていて、別にソープディッシュを置く必要がなく洗面周りがすっきり使えます。 ただ今まで石鹸を置く場所がある洗面器は数多くありますが、この洗面器は何が違うかというと、Saphire Ceramic という非常に強度の高い素材でできており、非常に薄い縁取りのようなデザインを実現していて、石鹸を置いた際も水が外に飛びにくい形状になっています。

特徴的なデザイン故、一見インパクトを狙ったデザイン重視のプロダクトにも見えなくは無いですが、その高度な技術から生まれる可能性をうまくに日常生活のシーンに落とし込んでいると思います。もちろんもっと一般的なデザインも可能でしょうが、その技術の可能性をメッセージとして発信したいというブランドの意図が、このデザインに至った理由でもあるのかと思えます。

 

このデザインとは関係無いですが、海外に出て気づくことの一つとして、日本のマーケットと海外のマーケットがかなり違うということがあります。そしてバスルームはその一つです。日本では主にTOTO, LIXIL を思い浮かべますが、海外、特にヨーロッパには数え切れないほどのバスルーム周りのメーカー、ブランドがあり、デザインのクオリティも非常に高いです。一般の家にもそれなりのものが設置されており、この辺りのデザインのスタンダードは大きく差があると言えます。

 

デザイナー 

デザインはKonstantin Grcic 、MagisのOneという椅子が有名なドイツのデザイナー。

ビジュアル的なインパクトが強いデザインが多い印象ですが、今回の洗面器のようにエンジニアリング的にチャレンジをしているプロジェクトも多く、そういった視点でも興味深いデザイナーです。