Design insight

世界の某都市でプロダクトデザイナーとして活動しています。デザイナーとして印象に残ったデザインに対し、自分の意見や分析を書いていきます。

Bang and Olufsen Beoplay A1

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Bang and Olufsen は言わずと知れた超デザインオリエンテッドなオーディオブランドです。そのブランドから発売された小型のポータブルスピーカーがA1です。

 

プロポーション

まずデザイン的に気になるところはそのスピーカーの開口方向から生まれる独特のプロポーションです。 通常のスピーカーは小型であっても横方向に音を出す構造になっていることがほとんどなので、横方向に音が出る形、例えば円柱とか、立方体をベースにしていることがほとんどです。

実際A1も円柱をベースにしていると言えなくは無いですが、上に開口を持ってくることで高さが低い独特のプロポーションを成しています。もちろん開口を上に持ってくるためにスピーカーコーンを上に向ける設計をして、それで360度方向にハイエンドオーディオブランドとして恥じない高音質な音を実現するために見えないところでの工夫は重ねられていると思います。

見た瞬間に他のスピーカーとは違う印象を与えてくる要因にまずこのプロポーションが挙げられると思います。しかしそれはただデザイン重視の形だけのものではなく、360度で音を楽しめるポータブルスピーカーとして必然な形で成り立っているところに機能美を高次元に実現し続けるB&Oらしさが出ていると思います。

 

ディテール

ボディを上から見てパーティングラインが見えないアルミを絞ったような構成になっていることで、アルミの塊に穴を開けたような印象を与え、しっかりとした上質な製品に感じさせていると思います。またその穴から見えるアルミの厚さ、布地の選定も、目に近距離で触れることを想定された上質感を感じさせる処理がなされていると思います。

また、ポータブルスピーカーとしてストラップをつけ、質感の高いロゴバッジをつけていることでさらにポータブルスピーカーらしさと、ポータブルであるからこそヘッドフォンやイヤフォンのようなパーソナルな印象を与えている部分もこの製品の魅力だと思います。

 

デザイナー 

デザイナーはCecilie Manz

Bang and Olufsen のBeolit 12, 15, Beoplay A2も手掛けたデザイナーで、家具やテーブルウエアを中心にデザインしているコペンハーゲンのデザイナー。機能的な中に時代の素材をうまく取り入れ、独特のエモーショナルな感覚でデザインをしている印象です。

彼女のB&Oの作品の中でもこのA1が私は最も好きです。